福厳寺の御本尊
福厳寺のご本尊 -聖観世音菩薩-
「観音さま」は、人々の苦しみを取り除く「慈悲」の象徴です
福厳寺の御本尊は「聖観世音菩薩:しょうかんぜおんぼさつ」です。
一般的に「観音さま」といえば、この「聖観音さま」のことをいいます。一見、観音さまは私たちと同じ人間そのままの姿、形をしていらっしゃいます。
けれども観音さまは、男性でも女性でもありません。観音さまは偶像でありながら、両性に通ずる「通性」であり「超性」です。「女性であってほしい」と願う人にとっては女性であり、また「男性であってほしい」と願う人にとっては男性です。
観音さまは、「知恵」と「慈悲」と「勇気」の3つの徳を具そなえている仏さまですが、とくに「慈悲」の要素が一番強く感じられるので、観音さまは女性として受けとられる場合が多いでしょう。
観音経によれば、「観音さまの名を呼び、その姿を心に念じて、自らの心に誓って、無駄に時を過ごすことがなければ、どのような苦しみも必ず除くことができる」と説かれています。
病気で悩む人、人間関係のストレスに病む人、経済的生活苦に悩む人、自然災害に悩む人……、それぞれひとりひとりのあらゆる苦しみ、悲しみ、悩みに寄り添って、その人の身になりきって 救ってくださる「母親のような心」を持った仏さまです。
「慈悲」とは、友情のことです。この友情は、特定の友のものではありません。また、人間だけとも限りません。自然のすべて、虫や小鳥たちにいたるまで、すべてが友だちです。「同じ空気を吸い、同じ水を飲む仲間たちである」と実感するのが「慈」です。
「悲」とは、友だちの悩みやうめきを自分のものとして受け取る心です。人の苦しみを自分の苦しみと受け取る心です。
大自然の喜びや悲しみをすべて自分のこととして受けとれるのが「悲」です。それは「愛」に似ています。
しかし裏切られると憎しみに変わるような愛ではなく、「裏切られれば、裏切られるほど相手を愛おしく思う大きくて深い愛」です。
外部から降りかかってくるあらゆる災難や、心の底から起こってくるさまざまな悩みに出合っても、知恵と勇気とそして「慈悲」の心をもって、人間らしい道を生きていきなさいというのが観音さまの教えです。
福厳寺千手堂のご本尊は、千手千眼観世音菩薩さま
福厳寺千手堂(位牌堂)の御本尊は、千手千眼観世音菩薩さまです。
「千」は、無数無量を表しています。この観音さまは、その名の通りたくさんの手を持っておられ、その掌はそれぞれ目がついています。この無数の目は「よく見ること」「観察すること」の大切さを示しています。
経典には「内には8万の心の悩みを滅し、外には100万の病を除く。誓って観音を念じ、その名を唱えれば、あらゆる畏れと不安を除き、すべての病める人を救い、万願を成就せしむ。」とあり、人間のあらゆる苦しみ、悲しみ、悩みに加え、あらゆる災難を救ってくださる仏さまです。