「墓地」を持つということ【愛知県小牧市・春日井市編】

こんにちは、愛知県小牧市の福厳寺(ふくごんじ)の平野(ヒラノ)です。

今回は「墓地」についてお話をします。

 

■墓地の起源

墓地に死者を葬る儀礼の歴史は古く、今から約7万年前にある洞窟で、ネアンデルタール人の遺骨の周りにたくさんの花粉が残っているのが発見されたのです。彼らは、近くに咲いていた花を摘み、仲間の死を悼んで、遺体の周りにちりばめました。

日本においても縄文時代には死者を儀礼的に葬る習慣があったとされ、さらに古墳時代にはその名前が示す通り多くの古墳が作られるようになりました。巨大な古墳は当時の権力を示す象徴であり、自身の業績や栄光を後世に残す記念碑のような意味を持つお墓も建てられるようになりました。

 

■墓地の変化 ~土葬から火葬へ

現在は昭和26年の宗教法人法の制定により、亡き方を火葬することが定められています。しかしかつての日本は土葬というかたちで埋葬をしていました。亡くなった人を土の中に埋めて、自然にかえしていきます。昔は自宅の敷地内や家の裏山にお墓をつくることが当たり前でした。今もその名残があり家の少し裏山にはたくさんのお墓が点在している地域があります。大切な家族を自宅で看取り、親戚や近所の人が力を合わせて葬儀を執り行い、土を掘り、大工さんが棺桶を作り、みんなの手で丁寧に納棺して山に埋葬する。それが当たり前でした。

現代社会ではお寺などの宗教施設・墓地として認可された場所にしか納骨をすることは許可されておらず、昔のように土葬で自宅の裏山にお墓を作ることが許されていません。そのため墓地のあり方や弔い方が問われています。しかしながら、墓地(霊園)という場所は、私たちの心を取り戻し、自分自身と向き合い、癒してくれる場所であるということを忘れないで欲しいと思います。知って頂きたく思います。

 

■墓地に想いを込めた日本人

日本がかつて土葬だった時代。昔は裏山まですぐ歩いていける距離でしたので、朝起きるとまずお墓に出向き庭に咲いていた花を供えたり、夏の暑い日には何度もお墓に出向いて水をかけに行ったりしました。1本のお線香に火をつけ、立ち上る煙をゆっくり眺めながら、大切な亡き人に問いかけます。「今日も暑い一日になりそうですよ。」「今年のお米も豊作です。美味しくいただきます。」「お父さん、そちらの世界で楽しくやっていますか。」と。

時に想いにふけることもあるでしょう。時に寂しさのあまり涙が頬をつたうこともあるでしょう。嬉しい出来事があった時には真っ先に報告をしに行くことでしょう。そうやって人は人の死というものに向き合い、死を受け止め、ゆっくりと悲しみを乗り越え、自分自身を癒していったのだと思います。

先祖代々のお墓の中には、祖父・祖母の魂が共に眠っているのかなんて、それは生きている者にはわかりません。きっと魂があるのだと信じて願い、残された人々はそれを支えに懸命に生きて来たのではないでしょうか。

 

■墓地はただの納骨場ではない

  • 墓地なんて必要ない。
  • お墓を維持していくのが大変。
  • そもそも魂なんて信じない。
  • 後継に墓地を任せるのは負担でしかたない。
  • 自分が死んだ後誰も面倒を見てくれない。
  • 墓地ではなく樹木葬や納骨堂がいい。

現代は情報化社会です。近年様々な主観を持つ人や権力者が、テレビやマスコミを通じて自分達に有意義な情報を拡散させる時代ですので、私たちはついその情報を鵜呑みにし、いつの間にか他者の情報を常識と認識し、固定概念として擦り込んでしまいます。

墓地を求めることは義務ではありません。お彼岸やお盆には多くの人がお墓参りに行きますが、しなくても罰則はありませんし、サボっていたからと言ってなんのペナルティーもありません。

墓地を定め、暮石を建て、亡き人を想うも想わないも本人の自由です。それでも私は僧侶としてお墓を持つことをすすめています。何故ならば、お墓参りをすることは何よりもその人自身のためだからです。

 

■墓地は自分の心と向き合える場所

この情報に溢れている時代に、たった一人で誰にも邪魔されることなく素直に自分と向き合う場所があなたにはありますか?

墓地は大切な亡き人と対話できる場所。生死について考えるきっかけを与えてくれる場所。そして何より墓地は自分自身を癒してくれる場所。

墓地を継承する、新しく墓石を建てる、納骨堂にする、樹木葬にする、合同墓苑に埋葬する。どんな方法でも構いません。墓地の有無を問うのではなく、素直な自分になれる場所を探してください。可能な限り大切な亡き方の想いと共に。

そして合掌し、静かに心の中でお唱えしてください。「ありがとう」と。墓地は供養と共に人の想いを育て、人の心を豊かにする場所だと私はそう信じています。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

合掌

 

福厳寺 平野勝滋

 

追伸: 墓地や納骨についてお悩みの方へ。お気軽にご相談でください。

→http://daisozan.fukugonji.com/contact/

お電話でもご相談お受けします。(0568-79-2183 受付時間:平日9時〜16時まで)

門松の命が、再び

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