修行がもたらす効果

「修行」に本格的に取り組んだことがある人はあまりいないと思いますが、「修行」という言葉を聞くと、「私には関係ない!」「恐そう!」「無理!」「絶対イヤ!」という人がほとんどだと思います。
けれどもお坊さんに限らず、どんな時代でも、社会でも、環境でも生き抜く力をつけたいと思うなら、やはり自分から積極的に修行したほうがいいと思います。

 

修行とは、何も山に籠って、素足で雪の中を歩いたり、滝に打たれたりすることではありません。
何でもいいんです。
何でもいいけれど、「いつ終わるとも分からない、繰り返しの作業を同じことの繰り返しと思わないで繰り返すこと」が修行です。

トイレ掃除でも、洗濯でも、皿洗いでも、訪問営業でも、コピーライティングでも、マッサージでも、武道の稽古でも、野球の投球練習でもいいんです。
同じことを繰り返すことが修行です。

 

人間は同じことを繰り返していると、つまらなくなってつい他のことをやりたくなる。飽きてしまいます。

 

 

03そうやって、勉強に飽きて、仕事に飽きて、奥さんに飽きて、旦那に飽きて、自分にさえ、飽き飽きしています。
毎日がつまらないのです。
だからいつも街中やネット上をフラフラ、ウロウロして、何か目新しい刺激はないかと探しています。
貧乏人もお金持ちも変わりません。
貧乏人はお金がないから近所に、お金持ちはお金があるから、海外にまで出かけて、やっぱり同じように、フラフラしているだけのことです。
この世の中に一瞬たりとも同じまま、変わらないことはありません。

 

家事も、育児も、勉強も、仕事も、お父さんも、お母さんも、子どもも、友達も、恋人も、愛人も、社長も、上司も、部下も、自分も、時々刻々と、その様相を、その心を変化させ続けています。

 

その事実に気がつかないと、自分や自分の周りがつまらなく思えます。
そしていつも、どこか自分の居場所と違うところに、今自分がやっていることとは違うことに、自分を満足させてくれる刺激的な幸せが転がっているのではないかと、あらぬ妄想を抱いて、人生をフラフラ彷徨うことになります。

 

野球選手がやっていることはいつも同じです。
投手であれば、腕を後ろから前へ振るだけ。
打者であれば、バットと呼ばれる棒を、斜め後ろ上方から斜め前方下方へ振り下ろすだけ。
わずか数メートルの間を行き来する腕や棒をどうするか。
彼らがやっていることは、そんな、一見つまらない同じ作業の繰り返しです。
しかし例えばイチロー選手は、そこに命をかけているのです。
つくづく修行は大切です。自分も、他人も、物事も、情報も、常に変化し続けて、一瞬たりとも「同じ」ままではありえないという事実を理解した上で、今自分が取り組んでいることを、今何かに取り組んでいなければ、何でもいいから、「これは!」と思ったことを、ひたすら愚直に繰り返してみる。
3ヶ月、半年、1年… するとその繰り返しの中に、様々な側面があることが発見できます。
数えきれないほどの視点があることに気づいてきます。

 

それが「深み」を知るということです。

 

「深み」を知らない人生はつまらないです。
「深み」のない人間もつまらないです。
修行とは、「いつ終わるとも分からない、繰り返しの作業を同じことの繰り返しと思わないで繰り返すこと」その繰り返しを通して、深みのある人が育ちます。
魅力ある、興味深い人間が育ちます。

福厳寺報「慈光」の発行

行事報告:三代忌法要(平成27年3月8日)

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