「亡くなった息子の遺骨を手放せない」

「3歳で亡くなった息子。生きていればもう10歳。私の心の中にはぽっかりと
大きな穴があいてしまっています・・・」

そう話すのは、母親のKさん。

先日7回忌を迎えましたが、息子さんの遺骨をまだお墓に埋葬することができないで
いらっしゃいます。

自宅へお経をあげるために伺った住職は、Kさんへお話をしたそうです。

「息子さんのお骨は、今もここにあるのですね。お墓に埋葬しないのですか?」

するとKさんは、頑なに拒むような表情を見せて「まだこの子を手放したくないんです」
と答えました。

「お子さんはもうここにはいません。お骨を家に置いておいたところで、なに一つ良い方向には
進みません。いつになってもKさんの心は、息子さんから離れず苦しいままになってしまいますよ。」

このようなお話をしたそうです。

あなたがもしKさんと同じ状況だったら、どうしますか?

痛いほど、Kさんの気持ちも伝わってきます。私もKさんと同じ状況になったら、きっと立ち直れ
ないし手放したくないと思うと思います。

けれど、3歳の息子さんのお骨をずっと家に置いて心の中で握りしめているということは、
「執着」を意味するそうです。

そこにとらわれて離れられない。

これは、よくないことですよとお釈迦さまが教えを説かれていらっしゃるそうです。

息子さんの死はとても悲しいことだけれど、息子さんの死、そしてお骨を目の前にして、
お母さんであるKさんが覚悟をしなければいけないことがあるのですよと、さらに福厳寺
住職より大切なお話が続きます。

自分も息子さんと同じように、いつか死を迎える時が来るという覚悟を持つということ。

そして、今のままの毎日を送っていていいのだろうか。

今まで生きてきた自分の人生を振り返り、息子さんの死をきっかけに明日からよりよく生きる
ためにはどうしたらいいかについて考える。

このことが最も大事なのですよというお話をいただきました。

息子さんの死はKさんへ、不幸をもたらしたのではなく今よりもっと幸せに生きるきっかけを
与えたに過ぎません。

大切な人の死。これはそう簡単に乗り越えることはできません。

けれど、自分自身がさらに幸せになるためのきっかけの一つだと捉えたら、何かが変わるの
かもしれませんね。

【福厳寺職員の気づきより】

秋の七草

小雨が降った朝のイルミネーション

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